企画展・講座
2018/06/13
6月10日(日)に行われた46回目となる「まなべこ」歴史文化講座は、日本大学 生物資源科学部 生物環境工学科の笹田勝寛准教授にお越しいただき、湊地区にある天然記念物「赤井谷地沼野植物群落」の現状と今後の課題についてお話して頂きました。
私たち会津若松に住む者でも、赤井谷地が天然記念物になっていることを知る者は残念ながら少ないかもしれません。赤井谷地は、1928年(昭和3年)3月24日に、寒地性湿原植物群落として国の天然記念物に指定されました。東北地方南部でありながら、モウセンゴケ・ミツガシワ・ホロムイイチゴ・ツルコケモモなど北方系の植物が自生している大変珍しい場所です。これは氷河期の生き残りとみられ、湊地区の冷涼な気候が適していたようです。しかし、周辺の農業開発によって赤井谷地からの排水が強まり、非湿原植物であるアカマツ・チマキザサなどが増え、乾燥化が懸念されています。
笹田先生は長年にわたり貴重な湿原の保全のために、周りの水田のほ場整備や矢板を打ち込むなどの土木的保全で地下水の流失を抑える成果をあげています。今後も湊地区の方々との交流を持ち、保全や活用についての情報交換をしながら、「手を加えて積極的に守る!」と調査・研究を行って行く力強いお考えを熱く語られました。