会津若松市歴史資料センター まなべこ

会津若松市の郊外、飯盛山北側の畑地に、樹齢600年を超える見事な桜
があります。桜は、エドヒガンで、葦名時代の重臣、石部治部大輔の屋
敷の庭桜といわれ、江戸時代の書物にも記されています。
4月中旬、会津五桜の中で一番早く開花します。
また、鶴ヶ城晴嵐、磐梯暮雪などとともに、昼間の喧騒を離れた静かな
雨の夜の石部桜が、石部夜雨として、会津八景のひとつに選ばれ、いに
しえの石部桜の主を思い浮かべた和歌が詠まれています。(市史15)

木末(こぬれ)もるつきに問はばや春雨のふりし昔の花のあるじを
空に伸びる梢の間から見える月に聞いてみたいものです。
このように春雨の降った夜の昔の主の姿を。ということでしょうか・・・


のびのびと枝を広げる堂々とした姿は、畑地の中でひときわ目を惹きます。この桜の見どころは、淡い桜色の花だけでなく、地面から隆起した迫力ある根元。たくましく大地をつかまえるその強さと、やさしさに満ちた可憐な花の対比は、まるで八重のよう。
悠久のときを超えて咲き誇る石部桜は、変わらぬ姿で今も会津の人々を魅了し続けています。
1968 年(昭和43年)、市天然記念物に指定されています。
石部桜に魅せられた多くの方々が歌を詠み、句碑が建てられているものもあります。
1797(寛政9)~1854(寛永7)
江戸時代の公卿、歌人。
1746(延享3)~1811(文化8)
江戸時代中期から後期に
かけての国学者、歌人。
1815(文化12)~1900(明治33)
江戸末期から明治期までの会津を代表する画家であり歌人。
  昨年の開花状況です。
大きさ 樹高9m/幹回り最大230cm/最小73cm(10本の株立ち)
東西23.6m/南北20m 北と南は地上まで枝が垂れる
交 通 JR磐越西線会津若松駅からバスあかべえ・ハイカラさん飯盛山下下車、徒歩約15分
磐越道会津若松ICから車で約10分